2026-07-20

なぜ AI はいつも思い通りに作れないのか? 頭が悪いのではなく、あなたが言い切れていないだけだ

まず、あなたもほぼ間違いなく経験したことのある場面から話そう。

AI に何か作ってもらおうと、期待いっぱいに出来上がりを待つ。ところが出てきたものは、頭のなかで思い描いていたのとは、はるか遠くかけ離れている。一言直せばどこかを間違え、何度かやりとりして、とうとうあなたはうんざりし、心のなかにこんな一言が浮かぶ――「AI なんてしょせんこの程度か」。

この数か月、私はほとんど毎日 AI で仕事をしていて、毎日このワナにはまってきた。だがはまり続けるうちに、私は考えを改めた。というのも、ひどく自分の頬を打つような法則に気づいたからだ。同じ要件でも、言い方を変えれば、一発で正しく作れる。

一度や二度なら偶然だが、十回のうち八、九回となればもう偶然ではない。だんだん私は、あることを認めざるを得なくなった。AI が間違えるのは、大半の場合それが頭が悪いからではなく、私が言い切れていないからだ。

これはオカルトではない。裏にあるのは、実に素朴な、素朴すぎて少し残酷なほどの道理だ。

AI は心を読まない。あなたが「言ったこと」の通りに作り、「思っていること」の通りには作らない。

あなたの頭のなかにあるその要件は、立体的だ――背景があり、自分でも意識していない暗黙の前提があり、「そんなの当たり前だろう」という常識が一式ついている。ところが対話ボックスに打ち込んだその一文には、たいてい薄っぺらい皮一枚しか残っていない。AI が受け取るのはその皮一枚で、残りはただ推測するしかない。当たればあなたの運がよかっただけ、外れればあなたはそれを「バカだ」となじる。

このことに腹落ちしてからは、私は「どの AI がより賢いか」を考えるのをやめ、代わりにもっと値打ちのあることを鍛え始めた。頭のなかにあるその立体的な要件を、丸ごと対話ボックスに移し替えるにはどうするか。 この記事は、私のその一套のやり方の全部だ。どれもそのまま真似できるもので、才能を要する心法など一つもない。

そしてこれは、プロダクトマネージャーにとって天大の朗報だと私は言いたい。要件を記述することは、そもそも PM の看板芸だ。 かつてあなたは要件を開発者に語って聞かせた。今それを AI に語って聞かせる――違いはただ、開発者は経験であなたの言い落としを補い、しかも折り返し聞き返してくるが、AI はもっと素直で、もっと「正直」だ、あなたが言った分だけ作る、ということだけだ。だから AI に対しては、開発者に語るより、ほんの少しだけ明快に言う必要がある。このほんの少しが、門であり、分水嶺でもある。

AI に一発で正しく作らせる要件には、五つの部品がある

自分が「言い切れた」あの要件たちをこじ開けて見てみると、それらはいつも五つのものを揃えていた。どれか一つ欠けると、AI はまさにその欠けたところで私に代わって勝手に決める。

毎回きっちり五つを書き込んで八股文にする必要はない。だが心のなかにはこの五つのマスを持っておくこと――送信する前に一目走らせて、どのマスが空いていれば、AI はまさにそこで自分勝手に判断する。

部品一:何が欲しいか――まず名詞を正確に言う

いちばん基礎的で、いちばんごまかしてしまいやすい。

「ユーザー管理のやつを作って」と言うとき、この「やつ」とは何だ? 一つのページか? 一つのテーブルか? 一式のバックエンドか? AI は一つを選んで推測するしかない。

こう言い換える。「ユーザー一覧ページを一つ、テーブルを一つ、アバター・氏名・メールアドレス・登録日時・ステータスを表示する」――こうすれば AI はどこから手をつけるか即座に分かる。

心法はこの一言だけだ。「やつ」「機能」「モジュール」といった虚語を、具体的な名詞に置き換える。 ページ、テーブル、ボタン、フォーム、グラフ、モーダル。それが結局「なんという物」なのかを言えて初めて、AI は受け止められる。

部品二:誰のため、なぜ――この一環がいちばん抜けやすく、いちばん値打ちがある

この一環は、技術畑出身の人ほどよく抜け落ちる。そしてまさにここが PM の主戦場だ――あなたは生まれつき「誰が使い、なぜ使うか」を気にかけるべき人間なのだ。

比べてみよう。「データダッシュボードを作って、いろんなデータを全部載せて」と言えば、あなたがそもそも見もしないグラフを一画面ぶん積み上げてくる。

こう言い換える。「データダッシュボードを一つ、店舗の店長が毎朝見るためのものを作って。彼がいちばん気にするのは、昨日いくら売れたか、一昨日より上がったか下がったか、どの品目がいちばん売れたか、この三つを最も目立つところに、ほかは二の次で」。

違いが見えるだろうか。「誰が使う+彼が最も気にすること」を足すだけで、AI は何を際立たせ、何を弱めるべきかが分かる――「重点」を持ち始め、すべての情報を一面に平らに敷き詰めなくなる。

私は今ほとんど習慣になっている。どの要件のうしろにも、「これは誰のためで、彼は何を解決したいのか」という一言を補う。 この一言は、しばしば前の記述全部を足したよりも値打ちがある。

部品三:具体的な形――「どんな見た目か」を言い出す

アイデアはあなたの頭のなかでは映像を伴っている。ところがあなたは抽象的な一語だけを放り出す。

「絞り込み機能を作って」――AI にはあなたが何を、どう絞り込みたいのか分からない。

「テーブルの上に絞り込み欄を一列足して。日付範囲のセレクター一つ、『ステータス』のドロップダウン一つ(すべて/正常/無効)、検索ボックス一つ(氏名またはメールで検索)。絞り込みは即時、選んだ瞬間に更新、確定ボタンは要らない」――これなら AI は一対一で再現できる。

あなたがデザインを心得ている必要はない。ただ心のなかのその映像を、平たい言葉で描き出すだけでいい――どんなブロックがあり、各ブロックは何で、どこに置き、どう使うか。描き出せれば、AI は再現できる。描き出せなければ、それはあなた自身もまだ考え切れていないという証拠だ――ちょうどいい、これは一つの信号で、あとでそれを逆にどう使って考え切るかを話す。

部品四:境界――「動いて見える」と「本当に使える」の分水嶺

この一環は少し多めに語りたい。なぜならこれが初心者と PM の本当の違いだからだ。

初心者が要件を記述するとき、描くのは「正常な場合」だけだ――ユーザーはおとなしく入力し、データはすべて正常、ネットワークはずっと通じている。だが現実の世界では、ユーザーはでたらめに入力し、データは空になり、ネットワークは切れ、入力は長すぎたりする。これらは「境界ケース」と呼ばれ、PM が最も気を配るべきで、AI に最も明確に伝える必要のあるところだ。

「氏名・メール・内容と、送信ボタン一つのフィードバック送信フォームを作って」と言えば、AI は正常な経路だけ作ってお役御免にする。

もしこう言ったなら――

「……この何ケースかに注意して。メールの形式が正しくないときは、入力欄の下に赤字で注意を出して、送信させないで。フィードバック内容が空のときは、送信ボタンを押せなくして。送信成功後はフォームをクリアして『ご意見ありがとうございます』を表示して。送信失敗(例えば通信切れ)のときは、ユーザーが入力済みの内容をクリアせず、『送信に失敗しました、もう一度お試しください』と出して。」

この余分な数行こそ、PM の専門性だ。AI にはこれらを処理する能力が完全にある。だがあなたが言わなければ、デフォルトでは「正常な経路」しか作らない。あなたが境界を列挙すれば、AI は一発ですべて作ってくれる。

ついでに言えば、「何をもって出来上がりとするか」と「何を作らないか」も境界に属し、同じく言うべきだ。 「今回のバージョンは一覧と絞り込みだけ、追加・削除・編集はまだやらない」という一言が、今回そもそも欲しくもない大量のものをあなたのために食い止めてくれる。

部品五:参照――ものさしを一本渡す

スタイル、配色、体験といった「感覚」の話は、最も文字で語り切りにくい。いちばん手っ取り早いのは参照を渡すことだ。

「色をもっときれいに、もっとプロっぽく」――「きれい」「プロっぽい」は百人いれば百通りの解釈がある。

「メインカラーはブランドブルー #3B82F6、全体の配色と余白は Stripe 公式サイトの、あのクリーンで抑制の効いたスタイルを参考に」――こうすれば AI はものさしを持ち、あなたの心のなかの「きれい」を当てずっぽうに探らなくて済む。

参照は一つの色値でも、あなたがいいと思う製品(「Notion みたいに」)でも、一つの基準でもいい。参照を渡せば、AI はあなたの美意識に賭けずに済む。

最もよくある五つの「言い切れなさ」と、その直し方

ここまでは正面からの分解だ。以下は私が最もよく見て、自分でも最もよく犯す五つのワナだ。一つずつ照らし合わせて自己点検してほしい。

ワナ一、大雑把すぎる。 「きれいなページを作って」――平凡なものが出てきて、しかもどこがダメか言葉にできない。直し方は、具体へ一段追い込むこと、形容詞を名詞とディテールに置き換えること。

ワナ二、命令を下すだけで、文脈を渡さない。 「エクスポート機能を足して」――何をエクスポートする? どこへ? どの形式で? どこに足す? 直し方は「どこに+何をエクスポート+どの形式で」を補うこと。例えば「レポートページの右上に『エクスポート』ボタンを足して、クリックしたら現在の絞り込み条件のテーブルを CSV にしてダウンロードさせる」。

ワナ三、一息に山ほど出す。 一つのメッセージに十五個の要件を詰め込むと、出来上がりはぐちゃぐちゃで、どこから直せばいいかも分からない。直し方は、小さく速く走る、一度に一つだけ出すこと。まず骨格を組んで動かし、効果を見てから、一つずつ足していく。これはすべてのなかで最も重要、間違いなく一位だ。

ワナ四、参照を渡さず、美意識をまるごと AI に推測させる。 直し方は部品五を見よ、色値を渡し、参照物を渡し、基準を渡す。

ワナ五、正常だけ言って、異常を言わない。 デモの実演はスムーズなのに、実際にユーザーに触らせるとあれこれ崩れる。直し方は、要件を出す前に自分に三つ問うこと――データが空だとどうなる? ユーザーがでたらめに入力したらどうなる? ネットワークが切れたらどうなる? その答えを要件に書き込む。

三つの技:AI を「手」から「頭脳」へ変える

ここまで習熟すれば、あなたはすでに大多数の人を超えている。以下の三つの技は、私が AI を「一双の素直な手」から「私に代わって考えてくれる一つの頭脳」へと変えるために使っているものだ。

第一の技、先に作らせず、まずあなたに問い返させる。 これは私が最もよく使い、最も直感に反する技だ。重要な要件ほど、いきなり作らせず、まずあなたに問わせる。

「一つアイデアがある。顧客フィードバックを収集して分析するツールを作りたい。まだ手を動かさないで――先に最も肝心な質問を五つ、私に聞いて。ターゲットユーザー、コアな用途、必須の機能、境界を、全部聞き出して明快にして。」

AI が問い出してくる質問は、十中八九、あなた自身がまだ考え切れていないところだ。あなたが答えていく過程こそ、要件を「一団のもやもや」から「一本の明快さ」へと追い込む過程だ。答え終わったころには、AI の手のなかにはすでに一式の完全な要件があり、出来上がったものは当然正しい。この技の本質は、AI に作ってもらうだけでなく、AI に考え切るのを手伝ってもらうことにある――考え切れれば、正しく作るのはついでだ。

第二の技、正例と反例を渡す。 文字で語り切れないときは、例を挙げるのが最も速い。とりわけ「こういうのが欲しい、ああいうのは要らない」というときに。

「このボタンをクリックしたあとの案内文を書いて。こういうふうに:短く、口語で、安心感を与える――『保存しました、ご安心を』。こういうふうにはしないで:お役所口調で、くどい――『お客様の操作はサーバーへ正常に送信され、永続的記憶領域への保存が完了いたしました』。」

一つの正例に一つの反例を添えるほうが、形容詞を三行書くよりよほど効く。

第三の技、復唱して確認させてから、手を動かさせる。 要件が複雑なときは、まず AI に自分の理解を復唱させ、あなたが間違いないと確認してから作らせる。

「さっき言った要件、まだ作らないで。三つの文で私に確認して:何を作るつもりか、いくつのブロックに分けるか、あなたが確信を持てないところはないか。私が確認したら始めて。」

このひと手間に三十秒かければ、あなたの三十分ぶんのやり直しを省ける。AI が復唱するとき、あなたはしばしばその場で「あ、ここは私が言ったことと思っていることが違う」と気づく――AI がまだ手を動かさないうちに、すかさず直す。

一通り通してみる:一句のあいまいな言葉から、一発で正しく作らせるまで

上のものを串刺しにして、本物の過程を一通り見てみよう。仮に私の頭のなかには、あいまいな一句しかないとする。「何か、ユーザーフィードバックが見られるやつが欲しい」。

第一歩、私はいきなり作らせず、まず考え切るのを手伝わせる(第一の技)。肝心な質問を五つ問わせる。AI はこう問うだろう。誰が使う(運営の同僚)? フィードバックはどこから来る(一つの CSV ファイル)? そこから最も得たいものは(みんなが最も集中して何に不満を言っているかを素早く知る)? 深刻度で並べるか(並べる)? 今回のバージョンで絞り込みはやるか(まだ要らない)?

第二歩、答えを寄せ集めて一本の完全な要件にすると、五つの部品がちょうど揃う。運営が見るため、目的はユーザーが最も集中して何に不満を言っているかを素早く見て取ること(誰のため、なぜ)。上部にアップロード領域を一つ置いて CSV を上げ、下部にフィードバックのテーマ分類、各分類の件数、割合を自動表示し、件数順に並べる(何が欲しいか、形)。CSV が空または形式が正しくないときは「読み取りに失敗しました、形式をご確認ください」と出す、今回のバージョンは絞り込みと検索をまだやらない(境界)。クリーンで抑制が効いていて、メインカラーは #3B82F6、レイアウトは Notion を参考に(参照)。まずダミーデータで組んで、ローカルサーバーを立ててプレビューさせて。

第三歩、動かして効果を見てから、小さく足す(ワナ三の直し方)。一度に一つ――「各テーマのうしろに割合を示すプログレスバーを足して」「あるテーマをクリックしたら展開して、その分類の元フィードバックを三件表示して」「テーマを深刻度で色分けして、赤は高頻度、黄は中、灰は低」。

第四歩、AI に自分で問題を探させる。「クリックできるところを全部一通りクリックして、エラー、詰まり、想定と違うところを見つけて、リストにして」。

全過程を通じて私はコードを一行も書いていないが、どのステップも明快に言い切った。これが今の日常だ――あなたは考え切り、言い切る係、AI は作り上げる係。

最後に

エンターを押す前、私はたいてい十秒かけて、心のなかでこれらのマスを一巡する。何が欲しいか(具体的な名詞か)、誰のためでなぜか、どんな見た目か、境界(空データ、でたらめ入力、失敗、何を作らないか、全部言ったか)、参照、そして――今回は要件を一つだけ出したか。六つのうち四つ五つ通れば、AI はほぼ一発で正しく作る。

AI を使える人はどんどん増えているが、要件を言い切れる人は、ずっと少数のままだ。前者は門で、誰もが跨ぎ越えられる。後者は分水嶺で、人を二手に分ける。

そしてプロダクトマネージャーであるあなたは、そもそも最もユーザーを知り、最も重点を知り、最も誰も代わりに気にかけてくれない境界を知っている。あなたに欠けているのは、これまでずっとそれらではなく、それらを言い出す習慣だった。一か月鍛えてみるといい。あなたは気づくだろう――AI が賢くなったのではなく、あなたがついに、心のなかのその要件を丸ごと手渡すことを、身につけたのだと。

ディスカッション

ログイン不要・匿名で投稿できます。お手柔らかに。
読み込み中…