プロダクトマネージャーの AI 転身ガイド 01|あなたが目指しているのは、どちらの「AI プロダクトマネージャー」か
テンセントの 2027 年度新卒採用が 8 月 11 日に始まった。対象は 2026 年 1 月から 2027 年 12 月に卒業する学生である。
発表には AI ネイティブな職種が並んでいる。AI フルスタックエンジニア、Agent 開発エンジニア、AI アプリケーションエンジニア、AI アルゴリズムエンジニア、AI プロダクトマネージャー、AIGC アート制作。
同じ発表のなかで、もう一つ書き換えられたものがある。テンセントの従来の人材観は「志ある者、学び好きな者、事を成せる者」だった。今回はその後ろに、より具体的な三つが続いた。問題を自ら発見し定義する、AI の産出物を評価し検証する、能力を目に見える成果に変える。
三つのうち、大規模モデルの技術に触れているものは一つもない。
そしてこの三つは「AI プロダクトマネージャー」という一職種のために書かれたものではない。今回テンセントが開いたのは技術・プロダクト・デザイン・マーケティング・コーポレートの五区分であり、基準はその全員に向けられている。
ここで私は引っかかった。この一年あまりに読んだ「転身ガイド」は、どれも別の話をしていたからだ。
「AI プロダクトマネージャー」という言葉は、二つの別物を同時に指している
「プロダクトマネージャー AI 転身」で検索すると、出てくる内容はきわめて似通っている。学習ロードマップ(プロンプトエンジニアリング → RAG → Agent → LLMOps)、給与表、そして末尾に申し込み用の QR コード。
私も最初はその道を見ていた。数か月してようやく、自分が必要としているものはその図の上に無いと気づいた。
引っかかりの正体は、この呼び名が二つの違うものを指して使われている点にある:
| 「AI プロダクトマネージャー」 | 「AI 時代のプロダクトマネージャー」 | |
|---|---|---|
| 何か | 一つの職種:大規模モデルや Agent 系の製品をつくる | 一つのやり方:AI を使って何であれつくる |
| 必要なもの | RAG、ファインチューニング、評価体系、Coze / Dify | 要件を明確に言語化する、やるべきかを判断する、自分で出荷できる |
| 誰が入れるか | 限られた企業の限られた席 | すでに手元に仕事がある人 |
| ネット上の分量 | ほぼすべてがこちら | ごくわずか |
テンセントの三つの基準が描いているのは右の列である。市場で売られている講座が教えているのは左の列だ。
左が偽物だという話ではない。左は本物で、しかも伸びている。
智聯のレポートの数字は、並べて読まないと意味が見えない
智聯招聘は 7 月 16 日に『2026 年 人工知能産業人材発展報告』を公表した。基準は同社プラットフォームの 2026 年上半期データである。
職種別の伸びだけを見れば、AI プロダクトマネージャーは確かに目立つ:
- Agent 関連の技術人材:前年同期比 +244%
- AI プロダクトマネージャー:前年同期比 +87.7%
- データアノテーション / AI トレーナー:+30.3%
- AI エンジニア:+19.3%
この数字はまだ上を向いている。同じ機関の李強副社長が今年第 1 四半期に示した数字は +81%、半期では 87.7% になった。その際の母数はプラットフォーム上の 4 億 400 万人の求職者と 1549 万社である。
だが同じレポートには、隣に置いて読むべき数字がもう一組ある。AI 産業全体の求人数は前年同期比 10.6% 増にとどまり、求職者数は 10.5% 増だった。
AI プロダクトマネージャーという職種は速く伸びている。ただしそれは、10.6% しか広がらなかった池のなかでの伸びである。
87.7% は伸び率であって、規模ではない。母数の小さい席が倍になっても、絶対数は依然として少ないままかもしれない。しかもそれより遥かに速く伸びているのは Agent 開発の +244% で、こちらは技術職であり、プロダクトマネージャーがそのまま移れる先ではない。
求人数 10.6% 増、求職者数 10.5% 増。この二つはほとんど重なっている。門は広がりつつあり、門の外に並ぶ列も同じ速さで伸びている。
AI 求人が最も速く伸びている場所は、大規模モデルの企業ではない
同じレポートには、産業別に分けた数字も二つある:
- 新エネルギー産業の AI エンジニア求人数:前年同期比 +38.2%
- 航空 / 宇宙 / 造船の AI エンジニア求人数:+23.5%
いずれも産業全体の 10.6% を大きく上回る。
つまり増加分のかなりの部分は「大規模モデルをつくる企業」ではなく、AI を自社の業務に入れ込もうとしている伝統産業の側にある。採用企業数は 24.8% 増で、求人数の 10.6% より速い。少数の企業が大量採用しているのではなく、より多くの企業がそれぞれ数席ずつ開けている、ということだ。
これは「どちらへ動くか」にかなり直接的に効いてくる。AI の仕事が新エネルギー、製造、航空へ染み込んでいるのなら、そこで必要とされるのは「大規模モデルが分かるプロダクトマネージャー」とは限らない。「その産業が分かっていて、AI を使える プロダクトマネージャー」である可能性のほうが高い。
後者はすでに産業知識を持っている。足りないのはやり方のほうだ。
その門はどれくらい狭いのか、54 件の JD から読み取れる
大手企業の AI PM 求人票 54 件を読み込んだ人がいる。頻出する要件は狭い範囲に集中している。プロンプトエンジニアリング、RAG、Function Calling、データアラインメント、SFT / RLHF、自動評価体系、Coze や Dify のようなローコードプラットフォーム、加えて論文を読む力とコードでプロトタイプを組む力。
企業が最も重く見ているのは実際に AI を現場で動かした経験があるかどうかである。理由は難しくない。AI のプロジェクトは技術と無関係な問題に次々ぶつかる——データが手に入らない、部署が協力しない、利用者がそもそもモデルの出力を信用しない。この穴の在り処は、実際にやった人にしか分からない。
その分析には直感に反する結論も含まれていた。Agent プロジェクトの経験が無いことは、機会が無いことを意味しない。 企業はローコードプラットフォーム上の実践も、ヘビーユーザーとしての背景も評価する。
だからこの道は塞がってはいない。ただ、受講証明ではなく何かしらの現物を出せ、と要求しているだけである。
問題は、その「現物」こそ学習ロードマップが渡してくれないものだという点にある。
「AI の産出物を評価し検証する」に、職種の前提条件は無い
テンセントの三つに戻る。私が最も長く見ていたのは真ん中の一つだった。AI の産出物を評価し検証する。
これの特異な点は、職種も会社も業界も変える必要がないことである。いま手元にある仕事を AI でやり始めた瞬間、その日から始まる。
そして見た目より難しい。AI は終わっていないものを終わったと言う。嘘をついているのではなく、どこが残っているかを本人も分かっていない。自分で見抜けるようになるか、リリース後に利用者から教わるか、どちらかしかない。
昨年から私は、自分で出荷可能なところまで持っていくことを試し始めた。コミット履歴を確認できるものが二つある。証明写真ツールが 21 コミット、6 月 13 日から 6 月 30 日まで、App Store に入った。PDF ツールが 43 コミット、最初が 7 月 5 日で最後が 7 月 11 日、iOS と macOS の二つを出した。
この数字を挙げたのは、それが難しかったと言いたいからではない。むしろ逆で、難所の大半は AI が引き受けた。時間が消えたのは別のところである。出てきたものが使えるかどうかを判断すること、そして自分の手で直さなければならない箇所を見つけること。
テンセントの言い方では「能力を目に見える成果に変える」となる。目に見える、がこの一句で最も効いている三文字だ。履歴書に「大規模モデルに精通」と書いても、読む側には検証しようがない。開けるリンクを一つ渡せば、相手は三十秒で分かる。
この二つの道のどちらを選ぶべきか、私には答えが出せない
いまいる会社がちょうど大規模モデルの製品をつくっているなら、あるいはそういう会社へ行きたいなら、職種の道は実在する。87.7% も本物だ。求人票には要求が明記されているので、そこを埋めていけばいい。
手元の仕事が大規模モデルと直接の関係を持たないなら——そしてあのレポートによれば、増加分の多くはまさにそういう仕事のほうへ流れている——RAG と SFT を一通り齧るより、一つのアイデアを最後まで実際につくりきるほうが見返りは大きいかもしれない。
そもそもこの二つの道は、分けて読むものではないのかもしれない。テンセントが「AI プロダクトマネージャー」を職種表に載せたその同じ日に、「AI の産出物を評価し検証する」を五区分すべての基準に書き込んでいる。同じ発表の、同じ日にである。
私自身がまだ整理できていないのは別の点だ。会社の誰もそうした成果物を求めておらず、人事評価もそこを見ないとき、何を支えに続けるのか。私は自分の製品をつくることで押し通してきたが、この方法が誰にでも使えるわけではないのは明らかだ——夜と週末を食い潰すし、長いあいだ誰もそれに対して賞与を出してはくれない。
この問いに私はまだ答えを持っていない。もしあなたが持っているなら、聞かせてほしい。
ディスカッション